3/23(土)炊き出しボランティア日記 |
「TENOHASI」 以前から名前は知っていたものの、ホームレスという言葉になんだか憂鬱さを感じて尻込みしていましたが、今年に入ってから友人に誘われて参加するようになり、今回で3回目となりました。
前回まで、11時からの調理(洗いもの班)、東池袋中央公園での17時からの配食(ゴミ箱班)そして配食後調理場に戻っての洗い物、と参加させていただきましたが、今回経験したかったことは、50キロにも及ぶ炊飯と、大寸胴3つ(180リットル)もの野菜を煮炊きする事。私は3.11以後災害ボランティアも始めましたが、東北で炊き出しをしようとネットで一升炊きの炊飯器を買ったのはいいものの水加減が分からず、お米をダメにしていまった苦い思い出があります。そんな訳で前回から大量にご飯を炊き上げる技が気になってしょうが無かったのです。…というわけで、当日はちょっと遅刻をしてしまい既にボランティアさんの役割分担が決まっていましたが、無理を言って炊飯組に入れてもらいました。
今回の炊き出しメニューも、ご飯にたっぷりの野菜汁をかけるいつもの「ぶっかけ飯」。1釜8リットルの炊飯と大量の野菜を煮込みつつ、ボランティアのまかないまでを仕切るのはこの道10年となるベテランのUさん。興味津々の私にUさんは、ガスの元栓の開け方から火の付け方、炊飯の水加減、炊飯時間等を丁寧に教えてくれながらも手際よく作業していきます。今回の炊飯もお米は8リットルを7釜。ググってみると1ℓは0.55升。ということは…1釜8ℓで4.4升。7釜で30升。1合が150gで2人前として一升20人前×30=600人前。(計算あってます?)うーん。すごい量。。Uさんは正確な時間を図るために3つの炊飯釜に15分おきに火を入れていきます。そして待つ事20分。Uさんから「ほれ。」と渡された第1号の炊きたてのご飯をつまんでみるとしゃきっとツヤツヤな炊き上がり。しかも鍋の底にはお焦げ一つありません。うーん。すごい。流石です。

↑1釜20分ほどで炊き上がります。
一方釜場の隣の部屋では初参加の方からベテランの方まで15人ほどでこれまたとんでもない量のキャベツ、白菜、人参、玉ねぎ等の野菜を刻んでおり、それらが衣装ケースに入れられて次々と運ばれてきます。大量の野菜は、80ℓは入りそうな大きな寸胴で煮こみますが、お湯を入れて沸かすのは1つにつき30ℓだけ。そこに寸胴の上まで野菜を入れますが、まだまだ横には衣装ケースに野菜の山。

思わず「これ全部入るんですか?」と聞くと、Uさんは「大丈夫」と一言。ほんまかいな…。と思っていると次第に野菜が自分の水分でぐつぐつ言い出し、嘘のように鍋に吸い込まれていきます。これにはまたぴっくり。びっくりしっぱなしでウロウロしているだけの私でしたが、いつのまにかUさんは、今日のまかないメニューのうどんも作りあげていました。まかないはボランティアの方は2階でいただきますが、2階でみんなが食べている間もUさんは1階で鍋を見張りながら。私も見習いとして今回は釜場でいただきました。
そうこうしているうちに、8リットルのお釜7つ分のご飯と3つの寸胴の野菜汁が出来上がりました。最後に味噌と醤油での味付け。若い女性スタッフらみんなで味見をしご飯と野菜汁は完成です。炊きあがったご飯と野菜汁は合計7個の大きなクーラーBOXに入れられ、トラックに載せられます。トラックの荷台の奥には、寄付された衣類がダンボールに詰められ山積みになっており、ベテランのAさんが荷物を降ろす順番を考えながら荷物の整理をしていました。

実は、今回から新たに決意したのが、このトラックのドライバーをすること。約10年運転をされてきたOさんがお仕事の都合でなかなか来れなくなると聞き、それならばと志願させていただきました。今回は同じように運転を志願されて初参加のTさん、ベテランであるAさんと3人で向かう事になりました。Uさんや、調理を終えて帰宅される方、電車で公園に移動される方に挨拶をし、トラックの出発です。行きの運転はTさん。後ろに積まれたクーラーBOXが揺れないよう慎重に運転しています。道が分からないのでgooglemap君に頼りながら行こうとすると、Tさんは、この辺の地理に明るいとのこと。良かった頼もしい。
ほどなく東池袋中央公園に到着。トラックが到着すると公園では待ち構えていたボランティアの皆さんがすぐに荷物をおろし、まずホームレスのおじさん達にコーヒーの提供をします。そして他の団体も含めて、スタッフは、歌を一緒に歌うチーム、鍼灸のテントチーム、そして生活相談、医療相談のテント、配食前に洋服を配るチーム、初参加の方にTENOHASIの活動を説明しながらの公園ツアーをするベテランスタッフ等、それぞれが動きだし、公園が次第に活気づいていくのが分かります。横ではすでに50人ほどのおじさん達が列を作って待っています。暖かくなってきたせいか、前回より多い。ボランティアさんの数も高校生や大学生など40人はいるでしょうか。たくさんの若いボランティアが参加しているのは頼もしく思えると同時に、列に並んでいるおじさん達を見ると私と同じ位や、私より若いような方も。1人のサラリーマンとして思わず明日は我が身と感じてしまいちょっとブルーになります。

↑炊き出しの隣では、生活相談や医療相談なども行っています!!
あたりが暗くなりガソリン発電機が灯りを灯す中、午後6時からは、いよいよ配食です。このころになるとおじさん達の列は200人はいるでしょうか。サンシャインのビルの光の下、東京でこのような列が出来ることは、ちょっと衝撃的な光景です。ボランティアは容器にご飯をよそう人、おじさん達にご飯を手渡す人、それに野菜汁をかけてあげる人、ゴミ箱を整理する人等に分かれます。おじさん達は順番にご飯の器を受け取り、野菜汁をご飯にかけられ、それを食べながらまた最後尾に並び直します。そして列で食べながらおかわりのために先頭を目指すのです。これには前回同様ちょっと泣きそうになりました。3回目のおかわりの列が終わり、残ったご飯でのふりかけ弁当を配り終えるとみんなで片付け。公園内もゴミを残さないように掃除し最後にボランティアが円陣を組んだところで、清野事務局長からの配食数の発表。今日は200人、475食、生活相談36人とのこと。すごい数です。


配食組はここで解散。我々は残った衣類、クーラーBOX等をトラックに積み込み、調理場に戻ります。私達の他に洗い物のために4人程タクシーで移動。調理場のご厚意によりお湯が提供されます。炊事のお水や場所の提供もそうですが本当に有難いことです。居残り組みんなで7個のクーラーBOXを洗いおわると午後8時を過ぎていました。午前中から夜までフルに参加したのは2回目でしたが、全て通しでやるとやはり疲れます。でもそれなりに達成感はあります。
TENOHASIは月に2回の炊き出しの他にも、毎週水曜日夜に池袋の夜回りも行なっているそうです。このような活動を10年も。本当に頭がさがります。清野事務局長は「炊き出しが目的ではなく、炊き出しはホームレスの方がそこから抜け出すための支援の入り口に過ぎない」とおっしゃっていました。なかなか事務局長やベテランスタッフの皆さんのようには出来ませんが、私も微力ながらこれからもTENOHASIに関わっていこうと思います。
(T.O)