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先日の福祉行動のときに出会った方のお話です。 その方(Aさん)は、今までいろいろな職業を転々とされてきた方でしたが、今年になってからはじめられたのが、工場での仕事でした。 Aさんは新聞広告で派遣会社の募集広告を見て応募されました。 仕事は寮付きでしたが、寮や報酬についての詳しい説明はなくすぐに仕事が始まりました。 仕事は様々な会社の製品の組み立てなどでしたが、きつい肉体労働でした。 重い部品の持ち運びで数日やっているとしばらく手の指を開いたり閉じたりすることが出来なくなってしまったと言っていました。 面白い話だから、とHさんはバッグからおもむろに給料明細をとり出し見せてくださいました。 寮費は約5万円。寮での食費が3万円。これは給料から差し引かれます。 部屋は寝る場所とテレビ1個が辛うじて収まる簡単な作りの小さい部屋でした。 最初の1ヶ月目は、週4-5日の仕事があり、寮での経費を差し引かれても10数万円の給料が残りました。ところが、2ヶ月目になると仕事は半分くらいに減り、次の月にはほとんど無くなりました。 給料明細を見ると、3ヶ月目の給料はマイナスになり、差額分を支払うように命じられるようになります。 「僕はホントのホームレスじゃないんだ」とその方は言いました。 (いったいわたしたちの「ホームレス」の定義ってなんでしょう?) その方は住む場所を今は失っていますが、仕事は何とかずっとつなぎつなぎしてきて、まったくの失業状態、そして路上生活である状態は、仕事をしていないわずか数日、数週間の間のみでした。 (わたしたちには「路上生活」されている人たちがどう見えているでしょうか。) 以前、NHKで「ワーキングプア」(働いても働いても豊かになれない働く貧困層)をテーマにした番組が放映されて、大きな反響を呼んでいます。 一生懸命に働いている人たちが、働くほどにかえって貧しくされていくしくみがあります。 その方は言いました。 「どうしてそういう派遣会社が寮を持ってるか知ってる?寮でも儲かるからだよ。」 寮には200人を超える人が住んでいるようだった、と言います。 居つづけるほどに、働き続けるほどに、その場から抜け出すことが出来ずに20年近くいる人もいた、とのことです。 実はこんな仕事の話は珍しいことではありません。 建設現場の「ピンはね」の話は、池袋で出会うおじさんたちによくその経験を教えてもらいます。 「ホームレス」を自己責任論で語ってしまうことが多くありますが、わたし達の社会が、経済が、こんな形の使い捨て労働、そしてそれよりももっとひどい奴隷のような労働、搾取構造の上に成り立っていることを目を逸らさずに向き合ってわたしたちの活動の意味とか、生き方を問い直したいと思いました。 最近は、大手金融会社が債務者に生命保険を本人の知らないままにかけあの手この手で自殺に追い込んでいるという実態が新聞などで報道されていますが、現実はここまで、弱い立場にある人たちにたいして無関心などころかとことんその弱い立場を利用してしまうことが臆面もなく行われているものかとおどろき、みぶるいするほどの気持ちをおぼえます。 いったいその200人の行き先は・・。?そんな「寮」は日本にいくつあるの・・。?? お茶会のパンフレットには 「わたしたちの社会は「働いて、稼いで、より効率よく」と追求しすぎるあまり、何かを切り捨ててしまっているのかもしれません。」 とあります。 本当にそうだなぁと思います。 じゃあこうすればいい!という簡単な解決法はすぐには見つからないかもしれませんが切り捨てられてしまっている何かを見つめなおすことが、切り捨てられてしまっている場所での皆さんの懸命な生き様が、わたしたちに多くのことを示してくださっています。 気持ちが暗くなるばかりで悶々としていましたが、みなさんと分かち合いたく投稿しました。 いろんな考えや意見これからも教えてください。(az)
by tenohasi
| 2006-09-15 01:30
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